No.1-遺言執行者の意義


 

Q 遺言書に遺言執行者を定めることがありますが、遺言執行者とは、何ですが?

 


 

A

<遺言執行者の意義>

遺言執行者は、遺言者の死亡後に遺言内容を実現するため選任された者をいいます。遺言執行は、基本的に相続人で行うことになりますが、ときには相続人間で意見対立が生じ、迅速に遺言執行がなされない場合もあります。そこで、遺言執行について遺言執行者に行わせることができます。

 

 

<遺言執行者の選任>

遺言執行者の選任方法は大きく分けて二つあり、遺言者が遺言において遺言執行者をあらかじめ指定しておく方法と遺言執行者の指定がない場合や遺言執行者に指定された者が辞退した場合等において、利害関係人の請求により家庭裁判所で選任する方法が考えられます。

 

また、遺言執行者を遺言であらかじめ指定しておく方法には、その指定を第三者に委託する方法も認められています。例えば、知人・自分の子等に遺言執行者の指定を委託することが可能です。

 

遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく遺言執行者を指定して、相続人に通知しなければならないとされています。

 

遺言執行者の指定の委託を受けた者が、長期間指定をせず、委託の辞退もしない場合、遺言執行者が存在しないものと扱い、利害関係人により遺言執行者の選任を家庭裁判所へ請求すべきとされています。

 

 

<遺言執行者になれる人>

⇒ 未成年者と破産者は欠格事由とされているため、遺言執行者になれないが、未成年者・破産者でない限りは、相続人・受遺者・法人・公正証書遺言における証人等も遺言執行者になれます。 ただ、紛争の発生が明らかに予見される場合には、弁護士をあらかじめ遺言執行者に選任すること等を検討した方がよいです。 なお、未成年者は遺言執行者の欠格事由ではありますが、婚姻した未成年者は成年に達したとものとみなされるので、遺言執行者になることができる点に注意を要します。

 

 

<遺言執行者の権限>

⇒ 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をすることができるとされ、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができません。 遺言執行者に認められる権限は、相続人の処分管理権を認めない排他的なものとされ、遺言執行者がいるにもかかわらず、相続人が勝手に相続財産を処分した場合、無効となります。

 

 

<複数の遺言執行者>

⇒ 複数の遺言執行者がいる場合、任務の執行は過半数で決し、遺言者が遺言に別段の意思をを表示したときは、その意思に従います。 遺言執行者の員数が奇数の場合、多数決で決することができますが、偶数の場合、可否同数といった事態が生じ得ます。 遺言執行者の員数が偶数の場合で可否同数のときは、家庭裁判所に遺言執行者を1名追加し選任してもらい、遺言執行者の数を奇数にしてから多数決を行う必要があります。

 

 

<遺言執行者の報酬>

⇒ 遺言に遺言執行者の報酬を定めれば、そのまま遺言執行者の報酬になり、遺言に遺言執行者の報酬について何の定めもなければ、遺言執行者から相続人・受遺者に対し、相当な報酬額を提示し、協議を行い、報酬額について合意することになります。

 

もっとも、相続人・受遺者との間で報酬額について合意を得ることができなければ、遺言執行者が家庭裁判所へ報酬付与の申立てを行うことができます。 なお、遺言執行者が報酬を請求できる時点は、遺言執行者としての事務が終了した時です。

 

 

<遺言執行者の関与が必要不可欠な事項>

⇒ 民法には、遺言執行者だけが執行できる事項としていくつか定められ、それは、推定相続人の廃除、廃除の取消し、認知に関する事項です。 したがって、上記事項を遺言に定めた場合、遺言執行者を指定しておく、または指定の委託を行う必要があります。 仮に、遺言執行者の指定や指定の委託がなければ、利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求しなければならず、円滑な遺言執行が実現できなくなります。

 

 

<遺言執行者の復任権>

⇒ 遺言執行は遺言執行者自ら行うことが原則ですが、病気や長期の海外出張等のやむを得ない事由がある場合と遺言者が反対の意思表示をした場合には、第三者にその任務を行わせることができます。第三者を選任することを復任権といったりします。