No.14-業務委託契約書


 

Q 業務委託契約書を作成しようと考えておりますが、注意点として何がありますか?

 

 


 

A

<業務委託契約の概要>

業務委託契約は、一定の業務を第三者に委託する場合に用いられる契約です。近年、業務委託契約は幅広く活用されるようになってきており、不動産管理業務・警備業務・コンサルタント業務・データ登録業務・清掃業務等で使用が期待されます。企業のアウトソーシング化が進んできていることから、業務委託契約も増えてきているといわれています。

 

法的に業務委託契約は、民法に明文のない無名契約として扱われ、その法的性質は委託業務内容により、委任契約であったり請負契約であったりと法的性質が一定しません。

 

また、場合によれば、業務委託契約が労働契約に該当する場合もあります。

 

すなわち、業務委託契約がどのような法的性質を有しているのかは、契約書のタイトルではなく、その契約の中身を精査して判断する必要があるわけです。

 

例えば、契約書の表題に「業務委託契約」と書かれていても、委託業務内容が物品の保管を委託する内容であれば、それは寄託契約の性質を有することになり、コンサルティング業務を委託する内容であれば、それは準委任契約の性質を有することになります。

 

 


 

(参考-業務委託契約書を作成する場合に設けるべき条項)

<業務委託の範囲に関する条項>

業務委託契約では、委託業務の範囲を詳細に記載した方がよいです。それは、詳細に記載しないと、契約の相手方から「頼んでいた話と違う」等と主張され、相手方との関係で、トラブルになる可能性があるからです。さらには、そのことから、委託報酬や費用に関してまで問題となることもあるからです。

 

また、委託の範囲を契約書に記載する際、最後に「これらに付随する一切の業務」という包括的な定め方をしておくのが望ましいです。委託業務を遂行していく中で、付随業務が生じることは往々にしてあり得るからです。

 

なお、記載の方法としては、契約書の条項中に委託範囲を記載する方法のみならず、契約書に別紙として添付する方法もあります。

 

 

<報告義務条項>

業務委託契約における報告義務は、基本的に委託者のための条項であり、業務の成果にかかわらず、毎期一定の委託料を支払う場合には、報告義務に関する条項は委託者にとって重要になります。

 

委託者は、受託者から報告を受けることにより、業務遂行状況を確認することができます。

 

 

<再委託の禁止条項>

業務委託契約は、受託者の業務遂行能力を信頼して締結されるという点から、再委託の禁止を定めることがあります。再委託を禁止することにより、予定外の者が業務遂行することは無いので、委託者の保護に繋がります。

 

他方、業務委託契約中に再委託の禁止を定めないこともあります。再委託の禁止を定めなければ、受託者が業務遂行をするために大量の人員を抱える必要は無いので、受託者の負担軽減に繋がります。

 

もっとも、再委託の禁止条項は、委託者の保護を目的とするものであるため、委託業務について受託者が誰でも構わないといった場合には、設ける必要はありません。

 

 

 

<秘密保持条項と知的財産権条項>

業務委託契約の中で、コンサルティング系のものは、契約内容の性質上、委託者から受託者へ秘匿性の高い情報が渡る可能性が高いため、秘密保持に関する条項を置くべきです。

 

受託者からも委託者へ秘匿性の高いノウハウ等が開示されるため、受託者側の視点に立ってみても、秘密保持に関する条項は大事となってきます。

 

また、コンサルティング系の業務委託契約では、知的財産権についても注意をする必要があります。それは、コンサルティング系の業務委託契約では、受託者から委託者へ、レポートや報告書が提供されること多いですが、それには著作権が存在し、仮に委託者へ著作権が移転すると、同種の業務を受託者が行う際に、その著作権が受託者の業務を妨げてしまう可能性があるからです。

 

そこで、レポートや報告書の著作権は、委託者に移転せず、受託者に帰属する旨の定めを置くべきです。

 

 

 

<契約終了後の措置を規定する条項

業務委託契約では、顧客情報や各種マニュアル等が受託者に交付されている場合があり、これらの資料には、委託者の企業秘密に属する情報が含まれていることがあります。

 

そこで、契約終了後に受託者からこれらの情報を返してもらうか、または返すことができないのであれば、廃棄する等の措置を受託者に義務付けることが考えられます。