No.15-秘密保持契約書(NDA)


 

Q この度、新規の会社と製造委託契約を締結するに際し、秘密保持契約を締結することになりました。そこで質問ですが、秘密保持契約とは何ですか?

 

 


 

A

<秘密保持契約の意義・使われ方>

当事者間で契約が締結されて取引が開始されると、製品情報や顧客情報が相手先に開示され、それらの情報が第三者に漏洩する危険性が出てきます。

 

そこで、秘密保持契約を締結することにより、秘密情報の管理方法、秘密情報の漏洩防止を目的とした従業員への教育、漏洩させた場合の損害金等の事項をあらかじめ定めておきます。

 

なお、秘密保持契約は元となる契約書に付随して締結される場合が多く、元となる契約の条項中に、秘密保持条項として定める場合と元となる契約書とは別に秘密保持契約書を用意して定める場合があります。

 

秘密保持に関する規定が多くて元となる契約書のバランスが崩れるのであれば、別途秘密保持契約書を用意する方法をとるのがよいです。

 

 

 


 

(参考-秘密保持契約書において定めておいた方が望ましい事項)

規定しておくべき事項-秘密情報が漏洩した場合の損害賠償>

秘密情報が漏洩したため、一方当事者が他方当事者へ損害賠償請求する場合、損害額を立証しなければいけませんが、秘密情報漏洩の損害額を算定するのは容易ではありません。

 

そこで、民法420条により、秘密情報漏洩の損害額をあらかじめ予定した方がよいと考えられます。損害額の予定がなされていると、予定通りの金額が損害額として認められます。

 

損害額の予定があることにより、相手方に対して秘密保持義務を遵守させる効果が期待できます。

 

ただ、あまりにも高額な金額を損害額の予定として設定すると、信義則違反や公序良俗違反として、金額の一部が認められなくなることも考えられます。そのため、損害額の予定をする場合、妥当な金額に抑える必要があります。

 

 

規定しておくべき事項-秘密保持義務の具体的な中身>

秘密義務の内容として、秘密情報を自ら開示しない義務としての不作為義務と事前に流出防止措置をとる義務としての作為義務が考えられます。

 

具体的には、以下のように説明することができます。

 

・ 不作為義務

目的外使用の禁止・第三者提供の禁止等

 

・ 作為義務

秘密にアクセスできる者の限定・受領した情報の厳格な管理・取引終了時の秘密情報の返還または廃棄等

 

・ 立入検査

秘密保持契約が締結されていても、現実に秘密保持義務が履行されていなければ意味がありません。そこで、場合によっては、相手方の事業所・営業所への立入検査を認めることによって、秘密保持に関する監視指導ができるようにしておくことも必要となります。

 

 

規定しておくべき事項-退職従業員との秘密保持契約>

退職従業員との会社との間で秘密保持契約が締結されることがあります。その場合、秘密保持契約書はもちろんのこと、誓約書・守秘契約書等の契約書や就業規則の形をとるのが一般的です。

 

退職従業員が負う秘密保持期間は、だいたい2年~5年が目安とされます。あまりにも長期間、退職従業員に秘密保持義務を負わせると過度に経済活動を阻害していると評価され、公序良俗違反として無効になる可能性があります。

 

したがって、退職従業員との間で秘密保持契約を締結する際は、秘密保持期間に注意する必要があります。

 

 

<規定しておくべき事項-秘密情報の定義付け>

秘密保持契約書を作成する場合、秘密保持契約の対象となる「秘密情報」の対象を正確に定義付ける必要があります。

 

どのような情報が秘密情報に当たるのかが不明瞭だと、秘密情報の漏洩防止の機能を有する秘密保持契約が活かされなくなることもあるためです。

 

秘密情報の定義付けの方法としては、当事者が秘密情報と明示して開示した情報を秘密情報とする方法が考えられます。または、個人情報保護法にいう「個人情報」に該当する情報を秘密保持契約にいう「秘密情報」の対象にする方法が考えられます。