No72-住宅購入資金と特別受益


 

Q 被相続人の父親が長男に対して、新築住宅購入を支援する目的で、一定額の金銭を生前贈与した場合に、長女が遺産分割時に特別受益を主張することは可能ですか?

 

 


A

<特別受益の制度>

共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、生前贈与を受けたりした者がいる場合に、法定相続分に従って配分すると、結果として、一部の相続人がより多くの相続財産を受けることになります。

 

言い換えると、遺贈又は生前贈与された財産は、被相続人から相続人への相続分の前渡しという性格を持つといえ、これらを無視して相続分の決定を行うと、相続人間で不平・不満が生じるわけです。

 

そこで、特別受益を受けた相続人の相続分を減らすよう一定の修正を行って、相続分算定を行います。

 

 

<特別受益に該当する生前贈与・遺贈>

⇒ 生前贈与や遺贈が特別受益に該当するか否かは下記のようになります。

(1)遺贈

遺贈は原則すべてが特別受益に該当します。

 

(2)婚姻・養子縁組のための贈与

持参金、支度金は、ある程度まとまった金額であれば、特別受益に該当するとされています。これに対し、挙式費用については、ケースバイケースではあるものの、一般的には特別受益に該当しないとされています。

 

(3)生計の資本として贈与

居住用不動産取得のための金銭贈与・独立資金の援助等は特別受益に該当すると考えられています。

 

冒頭に挙げたケースを当てはめてみると、生計の資本のための贈与として、特別受益に該当すると考えられます。

 

もっとも、被相続人たる父親が「住宅購入資金について遺産分割時に特別受益を考慮する必要はない」旨の明示又は黙示の意思表示がある場合、遺産分割において特別受益を考慮する必要がなくなります(いわゆる持ち戻し免除)。