雑感_No.1_秘密保持契約における違約金条項


【違約金条項】

秘密情報が漏えいすると開示者に回復不能な損害が生じるおそれがあり、また、その損害額の算定が難しいことから、秘密保持契約においては、受領者が無断で秘密情報を第三者へ開示したときは、受領者は、開示者に対し、一定の違約金を支払わなければならないとする条項を規定することが重要と指摘されることがあります。

 

 

【実務】

実務では、秘密保持契約における上記の違約金条項については、あまり見かけず、単に「受領者が本契約に違反して秘密情報を第三者に開示し、又は本目的以外の目的で秘密情報を使用したことにより開示者に損害が生じたときは、開示者は、受領者に対し、その損害の賠償を請求することができる。」というような一般的な損害賠償条項を規定することにとどめることが多いといえます。

 

この点については、違約金条項を規定すると損害賠償額の具体的な金額が露わになり、それが相手方を委縮させ、又は警戒させ、今後の当事者間の関係に悪影響を及ぼすおそれがあることから、違約金条項を定めないという方針がとられているように思えます。

 

なお、違約金条項を定めず、一般的な損害賠償条項を置くのにとどめるのであれば、開示者は、秘密情報を無断開示した受領者に対して損害賠償請求を行うことが難しくなるため、場合によっては救済されない場合があることをあらかじめ覚悟する必要があります。