No.24-雇用主・事業主が外国人を雇い入れる場合に把握しておかなければいけない外国人雇用の知識


 

Q これから当社では、初めて外国人の採用を行おうと考えているため、外国人雇用に必要な基礎知識や留意点を教えてください。

 

 


 

A 

外国人雇用を行う上で留意した方が良いと考えられる事項は下記の通りです。

 

<在留期限の管理>

⇒ 在留期限の把握は、在留資格を維持する上で基本的事項となり、期限の把握をおろそかにしていれば、在留資格を失うことになります。例えば、外国人社員が、長期海外出張のために、日本に不在であったため、在留期間の更新許可申請を行えなかったときは、在留資格を失うことになるため、再度在留資格を取り直すことになります。

 

また、在留資格更新許可申請を失念していたため、在留期限が経過したにも関わらず、日本から出国しないと、不法残留として、退去強制の対象となるため注意を要します。

 

もし、退去強制の対象となると、5年又は10年は、日本に入国できなくなり、貴重な外国人労働者を活用できなくなってしまいます。在留期限が経過しているのに、うっかりしていて気づかなかったが、決して悪気はないので許可して欲しいというのは、入管実務では残念ながら通用しません。

 

そのため、企業の人事担当者等は、外国人労働者の在留期限を管理するため専用ファイルを準備する等して、在留資格の失効を防ぐ必要があります。

 

 

<犯罪歴のある外国人>

⇒ ビザの更新申請や変更申請を行う場合に、その外国人が過去に暴力事件等を起こしていたときは、素行不良として不許可になることがあります。

 

したがって、たとえ外国人が自身の犯罪履歴を明かさないとしても、外国人の採用面接では、最低限採用する側として、その外国人の犯罪履歴に関する事項を確認する必要があります。

 

 

<外国人従業員の家族の就労>

⇒ 外国人従業員が既婚者であり、その配偶者が「家族滞在」の在留資格で滞在している場合、就労系の在留資格を有する場合を除いて、資格外活動許可を得ているときに限り、週28時間まで就労できますが、フルタイムで就労することはできません。

 

外国人従業員を採用する企業等において、「家族滞在」の在留資格では、資格外活動許可なくして、アルバイトを行うことはできないこと、資格外活動許可を得ても週28時間までの就労しかできないことを、外国人労働者とその家族に伝える必要があります。

 

配偶者が不適切な就労していると外国人従業員自身の在留資格手続に悪影響が出ることも考えられます。

 

 

<留学生の採用>

⇒ 日本で勉強する留学生を学校卒業後に雇用する場合、留学ビザから就労可能な在留資格(ビザ)に変更するため、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。

 

外国人留学生の場合、日本人の大学生等の雇用と異なり、内定を出して雇用契約を結べば済むというわけではなく、それに加えて、就労ビザを得る必要があります。

 

 

<外国人転職者の採用>

・ 転職前の職務内容と転職後の職務内容が同じ場合

転職前の職務内容と転職後の職務内容が同じ場合、入国管理局から何かしらの許可を受ける必要はなく、在留資格更新許可申請を行えば済みます。

 

ただ、現在の在留資格(ビザ)であっても、転職先で活動できるか否かは、不透明ですので、就労資格証明書を活用することが望まれます。

 

・ 転職前の職務内容と転職後の職務内容が異なる場合

日本に在留する外国人は、在留資格(ビザ)に該当する活動範囲でのみ、就労することができるため、転職前の職務内容と転職後の職務内容が異なる場合、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。

 

 

<中小企業における外国人採用>

⇒ 外国人労働者を雇用する目的が、単に外国人を安い賃金で雇用するためという場合があります。現実に単純労働の分野では、外国人の存在が重要とされています。

 

しかし、入管法の世界では、外国人を「安く使える人材」と評価することはできないことになっています。 それは、多くの就労ビザでは、それが許可されるためには、基準省令に「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が許可要件として定められているため、低賃金で外国人従業員を採用しても、肝心の在留資格(ビザ)が許可されないのです。

 

また、最低賃金法等の日本の労働関係法令は外国人であっても適用され、入管法の面からはもちろんのこと、労働関係法の面から見ても、決して外国人を安く働かせることはできません。

 

 

<不法就労の類型>

⇒ 外国人雇用を行う場合、不法就労への注意も必要です。なぜなら、不法就労させたり又は助長させたりすると「不法就労助長罪」になることがあるためです。

 

不法就労には、次の3つのケースがあります。

 

・ 不法入国者や不法残留者等の日本に滞在することがそもそも認められていない外国人が就労するケース。

(例:オーバーステイや密入国した外国人が働く場合)

 

・ 非就労ビザを有する外国人が資格外活動許可を得ないで就労するケース。

(例:短期滞在ビザで来日した外国人が働く場合)

 

・ 就労ビザを有する外国人が、そのビザで認められている範囲外の仕事を行うケース。

(例:技能ビザで滞在する外国人のコックが、工場で単純労働に従事する場合)

 

 

<職種と在留資格(ビザ)の関係>

⇒ 外国人雇用を行う場合によくある典型例と在留資格(ビザ)の関係は次の通りとなります。

 

・ コンビニ等の店員で働く場合

永住者ビザ、日本人の配偶者等ビザ、永住者の配偶者等ビザ、定住者ビザ、資格外活動許可を得ている場合の留学ビザや家族滞在ビザ

 

・ 通訳として働く場合

永住者ビザ、日本人の配偶者等ビザ、永住者の配偶者等ビザ、定住者ビザ、資格外活動許可を得ている場合の留学ビザや家族滞在ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ

 

・ 料理人として働く場合

永住者ビザ、日本人の配偶者等ビザ、永住者の配偶者等ビザ、定住者ビザ、資格外活動許可を得ている場合の留学ビザや家族滞在ビザ、技能ビザ

 

 

<留学ビザから就労ビザへの切り換え>

⇒ 留学生が日本で就職する場合は、現在の「留学ビザ」を「技術・人文知識・国際業務ビザ」等の就労可能なビザへ変更しなければなりません。

 

言い換えれば、変更後の在留資格で働くことのできる仕事での就職を目指すことが必要です。 採用企業から内定を得たら、必要書類をそろえて、翌年1月以降(東京入国管理局は前年12月以降)に住居地を管轄する入国管理局へ申請し、入社前に在留資格変更の許可を受けておく必要があります。

 

 

<ビザ申請時における企業等の規模>

⇒ 企業の規模や信頼度により、申請人の提出する書類に差が設けられており、規模や信頼度が大きいほど、提出書類は簡素化される扱いとなっています。

 

具体的には、申請人の所属する機関をカテゴリー1から4までに分類され、カテゴリー1が一番信用度が高いとされ、カテゴリー4が一番信用性が低いとされます。

 

・ カテゴリー1

(1)日本の証券取引所に上場している企業(2)保険業を営む相互会社(3)日本又は外国の国・地方公共団体(4)独立行政法人(5)特殊法人・認可法人(6)日本の国・地方公共団体認可の公益法人(7)法人税法別表第1に掲げる公共法人

 

・ カテゴリー2

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人

 

・ カテゴリー3

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

 

・ カテゴリー4

上記のいずれにも該当しない団体・個人