機械保守契約書の意義


【意義】

機械保守契約書は、委託者が受託者に対して機械の保守業務を委託する場合に用いられる契約書で、その性質は、準委任契約であると考えられます。

 

保守が不完全であることにより機械が故障した場合、受託者が委託者から損害賠償請求を受ける可能性があるため、受託者側としては、機械保守契約書において、あらかじめ損害賠償責任を負う範囲を制限する必要が出てきます。

 

 


【保守業務の範囲】

保守業務の範囲を明確にしておかないと受託者に債務不履行があったか否かを判断することができなくなるため、保守業務の範囲を機械保守契約書において規定することになります。

 

例えば、次の観点から保守業務の範囲を規定していくことになります。

 

(1)保守業務を実施する機械の製品名、型番及び設置場所

(2)実際の作業内容(ex.点検、部品交換、清掃等)

(3)作業回数 

 

 


【保守業務の対象外業務】

受託者が責任を負えない業務又は別料金で実施したいと考える業務については、保守業務の対象外業務として機械保守契約書においてその項目を規定することになります。

 

 


【料金】

保守業務の料金については、一般的には、月額制で定められることが多いといえます。

 

なお、委託者及び受託者間の齟齬を防止するため、部品交換を実施する場合の部品代そのものが保守業務の料金に含まれるのか、それとも別料金なのかを明らかにすることが重要といえます。

 

 


【保守業務の受付時間等】

保守業務の受付時間並びに作業時間及び作業の曜日については、委託者及び受託者間に認識の相違が生じないようにするため械保守契約書において規定すべきといえます。

 

 


【廃棄物の取扱い】

部品交換を実施した場合、交換した部品が廃棄物となるため、これを誰が処理するのかを明らかにする必要があります。

 

 


【損害賠償責任の制限】

保守が不完全であることにより機械が故障したことにより、受託者が委託者から損害賠償請求を受けた場合に受託者の損害賠償責任が過大にならないようにするため、機械保守契約書において、あらかじめ受託者の損害賠償責任の範囲を制限することが多いといえます。

 

 


【委託者の協力】

受託者が保守業務を実施するに際し委託者が管理する施設のスペース、水道、電気等が必要になることがあるため、委託者は、保守業務の実施に必要な範囲で受託者に対してこれらを無償で提供する旨が機械保守契約書において規定されることがあります。

 

 


【バックアップ】

機械の中にデータを格納しているタイプのものがあり、その場合には、保守業務の実施前に委託者の責任でそのデータをバックアップすることを義務付ける旨の条項械保守契約書において規定されることがあります。