個別契約成立時の売主と買主の立場



個別契約における注文書と注文請書の意義

実務上、基本契約成立後の個別契約の成立に関して、注文書・注文請書を交わすことにより契約成立するとされることが多いです。


これは、口頭により個別契約が成立するとしても、具体的な取引内容に関する合意事項を口頭で約してしまうと、後々契約条件について疑義が生じ、揉めることも十分に予想されるためです。


そこで、個別契約の成立の要件として、基本契約書上に注文書・注文請書の交付を求める条項が定められることが多々あります。




具体的な条項例

上記のように、個別契約の成立に関して、注文書・注文請書の交付を求めるケースが多々あるとしても、売主と買主とでは立場の違いがあるため、両者の力関係により、基本契約書中の条項の定め方も異なってきます。


例えば、売主側とすれば、買主側の発注条件を無条件に受け入れることは難しいと考えられるため、下記のように条項が定めるのが望ましいといえます。


条項例

「1.個別契約は、~~品名、数量、納期その他の事項を明記した所定の注文書を交付し、~~売主が買主に注文請書を交付することにより成立する。」


反対に、買主側としては、注文書を送っただけでは、売主が本当に注文内容を把握しているか確認するのが難しい場合もあるため、売主から注文請書が交付されることを求めたいところです。


もっとも、売主から注文請書が送られない場合も想定できるため、期限を定めてその期限内に注文請書の交付が行われない場合、個別契約の成立を擬制するといった事も必要になります。


条項例

「1.個別契約は、所定の注文書を交付し、~~売主が買主に注文請書を交付することにより成立する。」


「2.前項の規定にかかわらず、買主による注文書交付後6日以内に、売主が正当な理由なく注文請書を買主に交付しない場合、個別契約は成立したものみなす。」