パブリシティ商品化契約書の意義


【意義】

パブリシティ商品化契約書は、パブリシティ権を有するライセンサーがライセンシーに対して顧客吸引力を有する自らの氏名、肖像、署名等をライセンシーによる商品の製造販売又はその宣伝広告のために利用することを許諾し、ライセンサーがその対価としてライセンシーから一定の利用料を受領する場合に用いられる契約書です。

 

なお、パブリシティ権は、商品の販売等に際し氏名、肖像等が顧客吸引力を有する場合に、その顧客吸引力を排他的に利用できる権利をいい、判例により認められた権利です。

 

 


【許諾の範囲】

パブリシティ権を利用して商品の製造販売をし、又はその宣伝広告を行うことができる範囲については、例えば、次にような観点から規定されます。

 

(1)利用できる商品の種類

(2)利用できる地域

(3)独占権又は非独占権の別

 

 


【利用料】

ライセンシーがライセンサーに支払う利用料については、売上高等又は商品の製造量、販売量等に応じて利用料を算定する方法、一定の額をもって利用料とする方法等が考えられます。

 

なお、パブリシティ商品化契約では、一旦支払われた利用料については、事由の如何を問わず、ライセンサーは、ライセンシーに対して返還しないことが定められることが多いといえます。

 

 

 


【商品の製造前における承認】

パブリシティ商品化契約では、ライセンシーが商品を製造する前にライセンシーが商品の試作品及びその企画書をライセンサーに提出しライセンシーの承認があるまでは、ライセンシーは、商品の製造を開始してはならないとすることがあります。

 

 


【遵守事項】 

パブリシティ商品化契約では、ライセンシーがライセンサーの氏名、肖像、署名等を利用するものであるため、ライセンシーがライセンサーの名誉、声望等を侵害しないことを義務付けることが多いといえます。

 

 


【素材の提供】

パブリシティ商品化契約では、ライセンシーがライセンサーの氏名、肖像、署名等を利用する場合の便宜のため、ライセンシーからの求めに応じてライセンサーがライセンシーに対してこれらに関連した素材を提供しなければならないとすることが多いといえます。

 

 


【権利の帰属】

パブリシティ商品化契約では、ライセンサーの氏名、肖像、署名等にライセンシーが創作を加えた場合、その創作部分に対する著作権(著作権法第27条及び同法第28条に定める権利を含みます。)その他の一切の権利がライセンサーに帰属する旨が取り決められることがあります。

 

 


【侵害の排除】

パブリシティ商品化契約では、第三者によりライセンサーの氏名、肖像、署名等が不正に利用され、又はその疑いがあるときは、ライセンシーは、速やかにその旨をライセンサーに対して報告しなければならないとされることがあります。

 

その上でライセンサーが第三者に対して侵害の排除を行うときは、ライセンシーは、これに協力しなければならないとされることがあります。

 

 


【商標登録出願】

パブリシティ商品化契約では、ライセンサーの氏名、肖像、署名等を用いた商標について商標登録出願するときは、その商標登録出願人をどちらにするのかを取り決めることがあります。

 

 


【不保証】

ライセンサーの氏名、肖像、署名等が第三者の権利を侵害しないことをライセンサーが保証しない旨の条項がパブリシティ商品化契約に規定されることがあります。