倉庫寄託契約書の意義


【意義】

倉庫寄託契約書は、寄託者が倉庫営業者(受寄者)に対して継続的に物品を寄託し、倉庫営業者(受託者)が物品の保管業務を行う場合に用いられる契約書です。

 

倉庫営業者が倉庫業法上の倉庫業を営む者であるときは、国土交通大臣が公示した標準倉庫寄託約款を既に適用していることが多いため、標準倉庫寄託約款を寄託者と倉庫営業者(受寄者)との間でそのまま適用しつつ、特約として倉庫寄託契約書を上乗せして適用する形がとられます。

 

 


【標準倉庫寄託約款の適用排除】

標準倉庫寄託約款を寄託者と倉庫営業者(受寄者)との間でそのまま適用しつつ、特約として倉庫寄託契約書を上乗せして適用することを明確にするため、倉庫寄託契約書では、一般的には、次の事項が規定されます。

 

(1)標準倉庫寄託約款が寄託者と倉庫営業者(受寄者)との間で適用されること。

(2)(1)にかかわらず、倉庫寄託契約に別段の定めがあるときは、標準倉庫寄託約款の適用が排除され、倉庫寄託契約書が優先して適用されること。

 

 


【業務内容】

倉庫営業者(受寄者)が物品の保管業務以外に出荷業務、棚卸業務その他の付随業務を行うのであれば、その旨を倉庫寄託契約書に規定し、付随業務について、別途料金が発生するのかを明らかにすることが重要といえます。

 

 


【保管場所】

寄託された物品の具体的な保管場所を倉庫寄託契約書に規定することがあります。

 

 


【善管注意義務】

倉庫営業者(受寄者)は、物品の保管業務を履行するに際し商法の規定により当然に善管注意義務を負っていますが、この義務をあらためて倉庫営業者(受寄者)に認識させるため、善管注意義務の規定が倉庫寄託契約書に規定されることが多いといえます。

 

なお、これにとどまらず、実務では、倉庫営業者(受寄者)が寄託された物品を第三者に譲渡し、又は貸与してはならないことが規定されることがあります。

 

 


【料金】

倉庫寄託契約では、継続的に寄託者と倉庫営業者(受寄者)との間で物品の寄託が行われため、料金の支払いについては、毎月一定の日に締め切り、翌月の一定の日に寄託者が倉庫営業者(受寄者)に対して料金を支払うことが多いといえます。

 


【引取請求】

倉庫寄託契約が終了したときは、倉庫営業者(受寄者)が寄託者に対して一定期間内(ex.〇日以内に)に物品の引取りを請求できることが倉庫寄託契約書に規定されることがあります。

 

 


【任意解除】

一定の予告期間を設けた上で任意に倉庫寄託契約を解除できるとすることがあります。

 


【秘密保持条項】

標準倉庫寄託約款では、物品に関する情報、寄託者の取引先に関する情報その他の寄託者の秘密情報について、秘密保持義務が規定されていないため、倉庫寄託契約でこちらの部分を規定することが多いといえます。

 

 


【契約の有効期間】

標準倉庫寄託約款では、契約の有効期間に関する条項が存在していないため、倉庫寄託契約において、契約の有効期間が定められます。