経営委任契約書の意義


【意義】

経営委任契約書は、対象会社のオーナー兼代表取締役である譲渡人が自らの株式を譲受人に譲渡し、その譲渡人が対象会社に対する支配権を失ったものの、その譲受人が譲渡人へ引き続き対象会社の代表取締役として職務執行することを委託する場合に用いられる契約書です。

  

これは、対象会社のオーナー兼代表取締役であった譲渡人の方が社内事情をよく理解しているため、現場の実情に沿った適切な業務執行を行うことが可能であることから、経営委任契約が活用されます。

 

なお、経営委任契約は、譲渡人が譲受人に対して仕事の完成を約束するものではなく、善管注意義務をもって、業務を処理する場合の契約であるため、類型としては、準委任契約であると考えられます。

 

 


【経営委任の内容

 経営委任契約では、譲渡人が善管注意義務をもって対象会社の代表取締役として職務執行をしなければならないことが規定され、譲渡人は、対象会社の企業価値の向上に向けて努力することになります。

 

 


【報酬等】

譲受人は、譲渡人に対し、対象会社をして経営委任契約で取り決めた月額役員報酬を支払うことが多いといえます

 

これに加えて譲渡人の職務執行に対するインセンティブを維持するため、退職慰労金が支給される場合があります。

  

 


【誓約事項】

経営委任契約では、譲渡人が譲渡人へ次の事項を誓約する場合があります。

 

1.譲受人の意向に従い譲渡人が代表取締役として株主総会の招集等を行うこと。

2.契約の有効期間中、やむを得ない事由がある場合を除き、代表取締役を辞任せず、かつ、再任を拒否しないこと。

3.事前の承諾がある場合を除き、対象会社以外の法人の役員、従業員、アドバイザー、代理人その他これらに類する地位に就任しないこと。

4.対象会社の財務状態、経営成績、企業価値等に重大な影響を与える事象を発見したときは、譲渡人は、譲受人に対し、直ちにその旨を通知すること。

 

 


【譲受人の事前承諾】

経営委任契約では、新規事業の開始、借入、合併、訴訟等対象会社が重大な行為を行うときは、譲渡人が事前に譲受人の承諾を得なければならないとすることがあります。