売上仕入契約書の意義


【意義】

売上仕入契約書は、受託者が委託者の店舗に自らの商品を搬入し、及び管理し、委託者がその商品を自己の名で顧客へ販売し、その売上高の一部を委託者が受託者へ支払うに用いられる契約書をいいます。

 

受託者が委託者の店舗に自らの商品を搬入した時点では、商品の所有権は、引き続き受託者に帰属するものの(=受託者の在庫品)、委託者が顧客へ商品を販売した時点においては、その販売と同時に「委託者がその商品を受託者から仕入れたもの」として、受託者に商品の所有権が移転するものと取り扱われます。

 

 


【商品の販売価格】

委託者が顧客へ販売する商品の販売価格の決定については、その都度、委託者及び受託者間の協議で取り決める等の方法が考えられます。

 

 


【売上代金の管理】

委託者の店舗で受託者の商品が販売された場合、その売上代金については、その都度委託者の売上金として管理し、その売上金に一定割合を乗じた金額が委託者から受託者へ支払われます。

 

 


【商品の管理責任】

委託者の店舗に置かれる商品が滅失、毀損等をした場合、委託者の責めに帰すべき事由がある場合を除き、受託者の負担されることが多いといえます。

 

 


【商品の欠陥等による損害賠償責任】

商品の欠陥等により委託者が顧客から損害賠償請求を受けた場合、委託者の責めに帰すべき事由がある場合を除き受託者は、受託者に対し、その損害を賠償するの条項が売上仕入契約に規定されることが多いといえます。

 

 


【賃借権の否定】

受託者が委託者の店舗に自らの商品を搬入し、及び管理していても、委託者が受託者に対して賃借権を設定するものではない旨の条項が売上仕入契約に規定されることがあります。

 

その上で賃貸借契約の要素を弱めるため、委託者が商品の販売場所、販売位置等を決定できるとすることがあります。

 

 


【受託者に雇用される従業員の店舗への派遣】

受託者が自らの従業員を委託者の店舗へ派遣する場合、これが労働者派遣法上の派遣に該当しないことを確認するため、受託者において店舗へ派遣される従業員の中から管理責任者を定め、委託者が受託者へ指示を出すときは、委託者は、受託者の個々の従業員へ指示を出すのではなく、受託者の管理責任者へ指示を出すことを売上仕入契約に規定することが多いといえます。

 

 

 


【商標】

商品の販売に際し委託者の商標が付された手提げ袋等が用いられることがあるため、受託者がこれを売上仕入契約の目的の範囲内でのみ使用することが義務付けられることがあります。