No.75-協議離婚と履行確保


 

Q 協議離婚の場合において、相手に離婚条件を守らせるにはどうしたらいいのでしょうか?

 

 


 

A

<協議離婚の特色>

⇒ 現在9割程度(2013年時点)が協議離婚で離婚しているとされ、協議離婚は、夫と妻が合意の上で市町村役場へ離婚届を提出するだけで離婚が成立する比較的簡便な方法です。

 

基本的に、離婚に際し、離婚条件について離婚協議書を作成することが推奨され、

(1)親権者の指定

(2)養育費

(3)財産分与

(4)慰謝料

(5)年金分割

(6)面会交流

の点を中心に合意事項を記載していきます。

 

 

<協議離婚の難点>

⇒ 上記のように、協議離婚は簡便な方法で離婚が認められますが、養育費等の支払いを相手に求めるという点では、強制力に乏しいといえます。

 

それは、協議離婚時に離婚条件を取り決めても、相手に対して履行を請求することができるに過ぎず、相手がそれに応じなければ、手の打ちようがないためです。

 

その場合、調停・訴訟を視野に入れて、履行を強制する他ありません。

 

もっとも、一定の例外はあるものの、協議離婚の難点を補完してくれる方法があり、それは離婚協議書を強制執行認諾文言付公正証書にすることです。

 

この強制執行認諾文言付公正証書を作成しておくと、養育費や慰謝料等の金銭債権の不履行があった場合、裁判手続を省略して強制執行することが可能になり、協議離婚でも一定範囲で強制力を持つことになります。

 

ただし、強制執行認諾文言付公正証書では不動産等の引渡を強制することは出来ない点に注意を要します。