特定行政書士 伊奈川 啓明 (いながわ けいめい)
明治学院大学法学部卒業
行政書士登録番号(13081130号)
東京都行政書士会新宿支部所属(9555号)
主たる取扱業務(契約書作成)
最初の御相談から最終の事実婚契約書完成まで
特定行政書士の伊奈川啓明が
一人で行います!!
事実婚契約書作成について、簡単なものから複雑なものまで、
私一人で完成させております。
事実婚契約書作成については、
国家資格(総務省)を有する行政書士へお任せ下さい!!
(行政書士は、御依頼者様に代わって、行政書士法に基づき
事実婚契約書等の法律文書の作成を専門的かつ合法的に行えます。)
姓を変えたくない、姻族関係を持ちたくない、法律婚を選択後に離婚することになった際の戸籍への離婚歴の記載を避けたい等の事情から法律婚ではなく事実婚を選択する場合には、その条件についてパートナー間でじっくり話し合いをした上で事実婚契約書又は事実婚契約公正証書を作成することが望ましいといえます。
⇒いながわ行政書士総合法務事務所では、このような事情がある方に向けて事実婚契約書の作成又は事実婚契約公正証書の作成支援を専門に行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
・事実婚契約の意義
事実婚契約は、法律婚ではないパートナー間において契約で法律婚と同等の関係を構築することを目的とする契約です。
具体的には、契約書上で同居協力扶助義務の履行、不貞行為の禁止、事実婚を解消した場合の財産分与等の項目を規定し、契約により法律婚に近い効果を得ることを目指します。
・事実婚契約で定める条項
事実婚契約で一般的に定める条項は、以下のとおりとなります。
(1)事実婚の開始時期
(2)誓約事項
(3)遵守事項
(4)子の認知
(5)子の親権
(6)医療同意等
(7)事実婚契約の解除
(8)死因贈与
(9)事実婚契約が終了した場合の財産分与等への対応
・事実婚契約書を公正証書にする場合
事実婚契約書を公正証書として作成する方法もあります。
これは、事実婚契約について証拠力を確保するために行われことが多いといえます。
公正証書により事実婚契約を締結すると事実婚契約の成立について真正である(その書面が作成名義人の意思に基づいて作成されたものである)との強い推定が働き(=形式的証拠力)、公正証書に記載される内容に対しても高い信頼性を有する(=実質的証拠力)ことになります。
・事実婚としてできるだけ法的保護を受けるための方法
事実婚は、法律婚と異なり、戸籍を通じて婚姻関係を直接に証明できないため、事実婚として法的保護を受けるためには、できるだけ以下の手段を講じることにより事実婚の成立を証明していくことが重要といえます。
(1)パートナー間で事実婚契約書又は事実婚契約公正証書により事実婚契約を締結すること。
(2)パートナー間で長期間同居すること。
(3)一方のパートナーを住民票の世帯主にした上で他方のパートナーを配偶者(未届)等の続柄で住民登録をすること。
(4)パートナー間に子がいる場合には、男性パートナーが認知すること。
(5)勤務先に相手方のパートナーを事実上の配偶者として届出をしていること。
(6)結婚式を挙行すること。
(7)互いの親族にパートナーを紹介すること。
・事実婚の開始時期
事実婚の開始時期について、実務上考えられる方法としては、次のものがあります。
(1)事実婚契約を締結した時点を事実婚の開始時期とする方法
(2)すでに事実婚の実態があるところ、後から事実婚契約を締結し、事実婚の実態が開始された時点までその効力を遡及させる方法
(3)現在法律婚をしている夫婦間で協議離婚をし、その後に事実婚に移行することを前提に事実婚の開始時期を協議離婚成立時とした事実婚契約を協議離婚前に締結する方法
・パートナーの同居協力扶助義務
法律婚の場合、民法では、明文により夫婦は、同居し、互いに協力し、扶助しなければならないとされています。
もし、夫婦の一方が同居義務、協力義務、又は扶助義務のいずれかに違反したときは、「悪意の遺棄(明文の規定はありませんが、6か月以上の期間にわたりこれらの義務違反の状態が継続していることが必要とされています。)」を行ったものとして、その違反は、離婚事由になり得ます。
ただし、同居義務、協力義務、又は扶助義務のいずれについても、正当な事由があれば、これを行わなくても、「悪意の遺棄」に該当しないとされます。
例えば、同居義務については、仕事上の都合、病気療養等が、扶助義務については、生活費の不払いを自ら招いた場合等が正当な事由の一例として挙げられます。
事実婚を婚姻に準ずるものと考える立場から、事実婚におけるパートナーの同居協力扶助義務についても法律婚と同様に取り扱われます。
そのため、事実婚契約書又は事実婚契約公正証書においても上記の取扱いを確認的に規定することがあります。
・パートナーの貞操義務
法律婚の場合、民法には明文の規定がないものの婚姻の本質から夫婦は、当然に互いに貞操義務を負うとされています。
事実婚を婚姻に準ずるものと考える立場から、事実婚におけるパートナーの貞操義務についても法律婚と同様に取り扱われます。
なお、事実婚契約書又は事実婚契約公正証書においても上記の取扱いを確認的に規定することがあります。
・パートナー間の財産帰属
法律婚の場合、民法では、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産については、その特有財産(=夫婦の一方が単独で有する財産)、相互に協力して取得した財産については、共有財産とそれぞれ取り扱われます。また、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有財産と推定されることになっています。
事実婚を婚姻に準ずるものと考える立場から、事実婚におけるパートナー間の財産帰属についても法律婚と同様に取り扱われます。
なお、事実婚契約書又は事実婚契約公正証書においても上記の取扱いを確認的に規定することがあります。
・パートナーの日常家事債務に関する責任
法律婚の場合、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたとき(ex.夫が販売店との間で家電製品を購入した場合)は、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負うとされます。ただし、第三者に対してその責任を負わない旨を予告した場合(ex.妻があらかじめ販売店に対して夫による家電製品の購入について、責任を負わない旨を予告していた場合)は、この限りでないとされます。
事実婚を婚姻に準ずるものと考える立場から、事実婚におけるパートナーの日常家事債務に関する責任についても法律婚と同様に取り扱われます。
なお、事実婚契約書又は事実婚契約公正証書においても上記の取扱いを確認的に規定することがあります。
・事実婚における子の親権
法律婚の場合、父母が共同して親権を行使しますが、事実婚の場合は、常に父又は母が単独で親権を行使する形になります。
事実婚における子の親権は、子を分娩した事実をもって当然に母親がその子の親権者となると解されており、父親がその子を認知しても当然には、その子の親権者にはならないとされています。
そのため、事実婚の場合、原則、母親がその子の親権者となります。
ただし、父母の協議又は審判で父親を親権者として定めた上で、戸籍法上の届出をすれば、父親がその子の親権者となります。
・事実婚における子の氏
法律婚の場合、出生した子が父又は母の戸籍に入籍し、父母共通の氏を称する形になりますが、事実婚の場合、民法の規定により、母の戸籍に入籍し、母の氏を称する形になります。
もし、子の氏を父に変更したいのであれば、父親が子を認知した後、子の氏の変更許可の申立てを行い、家庭裁判所から許可を受けた上で戸籍法上の届出を行う必要があります。
この点、子の氏の変更許可の申立てを行うのではなく、子を父親の養子とする方法により、子が父親の氏を称する方法もあります。ただし、民法では、子が養子となったときは、子は、養親の親権に服する旨の明文があるため、子が父親の養子となると子の親権者は、母親ではなく父親となります。
なお、子の氏の変更許可の申立ては、子が15歳未満であれば、法定代理人がその申立てを行い、子が15歳以上であれば、子が単独でその申立てを行うことができます。
・事実婚における子の養育費
父親が子を認知していれば、父母が事実婚の場合であっても、親権の帰属の如何を問わず、父親は、子に対して扶養義務を負い、その結果として養育費を負担することになります。
・事実婚における医療同意
事実婚の夫婦の一方が入院し、手術等を受けることになった場合、他方が(1)病状の説明を受け、(2)手術への同意を行い、(3)カルテの開示を受けることができるかという問題があるところ、具体的には、次のように考えられています。
(1)病状の説明を受けること。
⇒どの範囲の人に説明をするか否かは、本人が決定する事項であるため、本人が希望すれば、本人のみならず、事実婚の夫婦の相手方もその説明を受けることが可能です。
(2)手術への同意を行うこと。
⇒手術への同意は、自己決定権の問題であるため、原則、本人しか行い得ないものですが、意識障害等があることにより本人がその同意を行うことができない場合には、 事実婚の夫婦の相手方もその同意を行うことができるという考え方が有力です。ただし、事実婚の夫婦の相手方が本人に代わって手術への同意を行うことを認めない医療機関が存在することには留意が必要です。
(3)カルテの開示を受けること。
⇒診療情報の提供等に関する指針において、カルテの開示を請求できる者として、「患者本人から代理権を与えられた親族及びこれに準ずる者」及び「患者が成人で判断能力に疑義がある場合は、現実に患者の世話をしている親族及びこれに準ずる者」が規定されているため、事実婚の夫婦の相手方もカルテの開示を受けることができると考えられています。
なお、事実婚契約書又は事実婚契約公正証書においても上記の取扱いを確認的に規定することがあります。
・相手方のパートナーへの遺産承継
事実婚の当事者の一方が死亡した場合、相手方のパートナーは、法律婚とは異なり、当然にその死亡者の遺産を承継できるわけではありません。
そのため、事実婚契約を締結する際に当事者の一方が死亡しても、相手方のパートナーがその死亡者の遺産を取得できるようにあらかじめ対策を講じておく必要があり、実務では、事実婚契約中に死因贈与の規定を定めたり、又は事実婚契約とは別に遺言書を作成した上で遺贈を行うことがあります。
なお、死因贈与の場合、互いに取消権の行使を制限(=撤回権を放棄)することにより、事実婚契約が存続している間は、取り消されない(=撤回されない)ようにし、少しでも遺産の承継を確実にすることがあります。
この点については、遺言で遺贈をする方法だと、民法上「遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。」とされ、いつでも遺言者が遺言を撤回でき、相手方のパートナーの与り知らないところで遺言書の書き換えが行われている可能性があり、パートナーの遺産の承継について不確実なところがあります。
なお、相手方のパートナーへの遺産承継について、死因贈与又は遺言による対応をしていなかった場合、他の手段としては、相手方のパートナーによる遺産への共有持分の主張が考えられ、これにより、死亡したパートナーの相続人に対して相手方のパートナーが共有持分の確認請求又は共有物分割請求をすることが考えられます。
ただし、この方法は、広く認められた方法ではないため、相手方のパートナーへの遺産承継を行う場合には、死因贈与等による対応が望ましいと考えられます。
【遺言による対応の方も検討した方がいい場合】
上記において、基本的には、死因贈与による対応が望ましいとしておりますが、次のような場合には、遺言による包括遺贈の方も検討した方がいいと考えられます。ただし、遺言による対応については、民法上、いつでも遺言を撤回できる関係で、遺言を行ったパートナーが遺言を撤回した場合、相手方パートナーの遺産承継について、不確実性が残る点に注意が必要です。
(1)相手方のパートナーへ農地を承継させる予定がある場合
これは、農地法において、農地を農地として死因贈与を行うと農業委員会の許可が必要になるところ、遺言による包括遺贈であれば、その許可が不要になるためです。
(2)相手方パートナーへ株式を承継させる予定がある場合
これは、会社法上、死因贈与により株式を承継させると株主総会等における承認が必要になるところ、遺言による包括遺贈であれば、その株主総会等における承認が不要になるためです。
・死因贈与による遺産の承継と預金の払戻し
事実婚契約において死因贈与の規定を定めたとしても、預金債権については、譲渡禁止特約が付されていることがあるため、贈与者の死亡時に受贈者が金融機関に対して自己への払戻しを請求できるのかという問題があります。
この点については、受贈者と贈与者の相続人との間で争いがある場合には、金融機関が譲渡禁止特約を理由に受贈者への払戻しを拒むことに合理性はあるものの、預金債権の帰属についての争いが法的に解決している場合にまで、その払戻しを拒むことに合理性はないため、預金債権の帰属についての争いが法的に解決している場合には、受贈者の相手方パートナーは、金融機関に対して自己への払戻しを請求できると考えられます。
・事実婚の場合における生命保険金受取人
事実婚の夫婦の一方を被保険者とする生命保険契約の保険金受取人を単に「相続人」と定めていた場合、その相続人には、事実婚の夫婦の他方は、含まれないと考えられています。
もし、事実婚の夫婦の他方を生命保険契約の保険金受取人とするときは、その者を受取人にすることが必要と考えられます。ただし、保険会社による総合的な審査が必要な場合が多いといえます。
・民法における夫婦間契約の取消権の規定と事実婚
民法においては、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」とされるところ、事実婚を婚姻に準ずるものと考える立場から、この規定が事実婚にも適用され、いつでも事実婚契約を取り消すことができるおそれがあります。
この点について、一般的な理解及び裁判例においては、民法における夫婦間契約の取消権の規定をそのまま事実婚に適用してしまうと事実婚の保護に逆行するおそれがあるため、民法における夫婦間契約の取消権の規定は、事実婚に適用されないと考えられています。
そのため、いつでも事実婚契約を取り消すことができるわけではないと考えられます。
・事実婚契約と任意後見契約の併用
事実婚契約を締結する際に任意後見契約も併わせて締結することにより、将来パートナーの一方が判断能力が低下した場合に、相手方のパートナーが任意後見人として、判断能力が低下したパートナーの財産管理を行うことを予定することがあります。
ただ、比較的若年層といえる当事者において、年齢の近いパートナーを任意後見人とするとその者も将来同時期に判断能力が低下している可能性が高く、もし、その任意後見人が後見開始の審判を受けると任意後見契約が終了するおそれがあり、又は現時点において遠い将来を見越して委任の内容を決めることは難しいことから、年齢の若い専門職、甥姪等を任意後見人とすることを前提に将来において任意後見契約の締結を実施することで構わないと考えられます。
・契約書又は公正証書のどちらで事実婚契約を締結するべきなのかの問題
事実婚契約は、契約書又は公正証書のどちらでも締結可能ですが、医療同意権、死因贈与等重要な項目において、真意に基づいてそのような合意があったのかということが問題となるため、できれば公正証書により事実婚契約を締結した方がいいと考えられます。
特に死因贈与においては、死因贈与を快く思わない相続人が死因贈与の無効を主張してくるおそれがあるため、公正証書による事実婚契約の締結を検討すべきといえます。
なお、やむなく契約書により事実婚契約を締結することになった場合でも、最低限、実印と印鑑登録証明書を用いて署名捺印すべきといえます。
当事務所の場合、パートナーのいずれかが第三者と法律婚をしている場合には、法律婚をしているパートナーとその第三者の関係が破綻していないと、事実婚における相手方のパートナーが法的保護を受けられないため、事実婚契約書作成等の案件をお受けしておりません。
(事実婚契約書作成の場合)
33,000円(税込)~
+実費
(事実婚契約書チェックの場合)
5,500円(税込)~
+実費
事実婚契約公正証書を作成する場合の報酬及び実費の額については、お問い合わせ頂いた際に可能な範囲で御案内いたします。