データ消去及びIT機器廃棄業務委託契約書の意義


【意義】

データ消去及びIT機器廃棄業務委託契約は、委託者が受託者に対して委託者のIT機器内の記憶装置に格納されたデータを消去し、かつ、そのIT機器を廃棄する業務を委託する場合に用いられる契約をいいます。

 

データ消去及びIT機器廃棄業務委託契約では、主にデータ消去等の具体的方法、履行期日、委託料、報告書の提出、再委託、データ漏洩時の対応、合意管轄等が規定されます。

 

 


【データ消去等の具体的方法】

データ漏洩を防止するため、受託者の事業所内又は委託者の承認した場所でのみデータ消去を行い、その後にIT機器の廃棄を行う旨が規定されることが多いといえます。

 

さらに、IT機器の廃棄のため、その運搬を行うときは、委託者の業務の妨げにならないようにすること、作業時の人数を一定数以上とすること等を取り決めることがあります。

 

 


【履行期日】

 

不必要にデータが存在するとデータ漏洩の危険性が高まるため、できる限り履行期日を定めた上で受託者にデータ消去及びIT機器廃棄業務の履行を促す必要があります。

 

 


【報告書の提出】

受託者がデータの消去等を完了したときは、これを完了したことの報告書を委託者に提出することを義務付けることが多いといえます。

 

 


【再委託】

データ漏洩を防止する観点から、データ消去及びIT機器廃棄業務の再委託は、避けた方がいいといえますが、受託者の都合により、再委託を認めざるを得ない場合があります。

 

そこで、事前に委託者の承諾を得た場合にのみ再委託できる形がいいといえます。なお、事前に再委託の承諾を行うに際し、その承諾を行うか否かの判断に役立てるために、受託者から次の情報を提供してもらう形がいいといえます。

 

(1)再委託の名称

(2)再委託の技術水準

(3)再委託が保有する設備

(4)反社会的勢力との関わりの有無