飲食店コンサルティング契約書の意義


【意義】

飲食店コンサルティング契約書は、飲食店(委託者)がコンサルタント受託者)に対してメニューの開発、スタッフの育成、店舗の運営アドバイス、使用材料及び業者の選定、店舗のレイアウト(見せ方)のアドバイス等の実施を委託する場合に用いられる契約書で、委託する業務の詳細、報酬の算定、著作権の帰属、成果の不保証等の項目が規定されます。

 

飲食店コンサルティング契約は、コンサルタント(受託者)が飲食店(委託者)に対して仕事の完成を約束するものではなく、善管注意義務をもって、飲食店コンサルティング業務を処理する場合の契約であるため、類型としては、準委任契約であると考えられています。

 

 


【飲食店コンサルティング業務の詳細】

飲食店コンサルティング契約では、コンサルタント(受託者)が債務を履行しているか否かの判断基準を明確にするため、コンサルタント(受託者)が飲食店(委託者)に対して実施する飲食店コンサルティング業務の内容、実施方法等の詳細を定めることが重要です。

 

なお、この点については、飲食店コンサルティングの条項中にこれらの内容を規定する場合又は別紙にこれらの内容を規定する場合があります。

 

 


【報酬の算定】

継続的な飲食店コンサルティング契約では、月額報酬制が採用されることが多いといえます。

 

なお、単発案件の飲食店コンサルティング契約では、あらかじめ個別の業務毎に報酬額を決めておき、その業務が行われる毎に報酬が支払われる形にする場合があります。

 

 


【費用】

飲食店コンサルティング契約は、準委任契約の性質を有すると考えられるところ、特約がなければ、コンサルタント(受託者)の飲食店コンサルティング業務の遂行に際して生じた交通費その他の費用は、民法の規定により、飲食店(委託者)が負担することになります。

 

そのため、原則として費用については、コンサルタント(受託者)の負担とし、事前の同意がある場合に限り、飲食店(委託者)の負担とするときは、その旨を飲食店コンサルティング契約に規定する必要があります。

 

 


【成果の無保証】

コンサルタント(受託者)に対して飲食店コンサルティングの実施を委託すれば、必ず売上増大、財務状況の改善、業務能率の向上等が生じると誤解する飲食店(委託者)もいるため、飲食店コンサルティング契約では、コンサルタント(受託者)は、飲食店(委託者)が希望していた特定の目的が実現されることまでを保証しないことが規定される場合があります。

 

 


【報告義務】

コンサルタント(受託者)の業務状況を把握するため、定期的な報告義務をコンサルタント(受託者)に課し、報告内容を確認する必要があるときは、飲食店(委託者)がコンサルタント(受託者)に対して説明を求めることができるとする場合があります。

 

なお、報告書については、著作権その他の知的財産権が生じる可能性があるため、これらの権利をコンサルタント(受託者)に帰属させたままにするのか、それとも飲食店(委託者)へ譲渡するのか(これらの権利を譲渡する場合には、著作者人格権の不行使特約も規定する。)を飲食店コンサルティング契約において、明らかにしておくことが重要となります。

 

 


【再委託】

飲食店コンサルティング契約は、準委任契約の性質を有するところ、準委任契約は、信頼関係を前提とした契約であるため、飲食店(委任者)の同意を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、飲食店コンサルティング業務を再委託することはできません。

 

そのことを確認するため、飲食店コンサルティング契約に上記の内容を規定することが多いといえます。