【意義】
ITサービス代理店契約書は、ソフトウェア、クラウドシステム等を開発するベンダーが代理店を通じてエンドユーザー向けにこれらの利用を許諾し、及び代理店へ営業を委託する目的で締結されます。
【ITサービス代理店契約書の種類】
ITサービス代理店契約書の種類は、大きく分けて以下のタイプがあります。
「利用許諾型」
代理店によるエンドユーザーへの営業の結果、エンドユーザーがベンダーからソフトウェア、クラウドシステム等の利用を直接に許諾してもらうもので、エンドユーザーとベンダー間で利用許諾契約が成立します。
「再利用許諾型」
エンドユーザーがベンダーではなく代理店からソフトウェア、クラウドシステム等の利用を再利用許諾してもらうもので、エンドユーザーと代理店間で再利用許諾契約が成立します。
【利益を得る方法による違い】
「利用許諾型」及び「再利用許諾型」のITサービス代理店契約では、それぞれ代理店が利益を得る方法に違いがあり、具体的には、以下のとおりとなります。
「利用許諾型」
ベンダーから支払われる手数料により代理店は、利益を得ることになります。
なお、手数料の具体的な定め方としては、エンドユーザーとベンダー間でソフトウェア、クラウドシステム等の利用許諾契約が成立した時点でソフトウェア、クラウドシステム等の仕切価格と代理店がベンダーの委託を受けた上でエンドユーザーから代理受領したライセンス料との差額を手数料とすることが考えられます。
「再利用許諾型」
エンドユーザーから支払われる再利用許諾料とベンダーに支払う利用許諾料との差額により代理店は、利益を得ることになります。
なお、エンドユーザーにソフトウェア、クラウドシステム等の再利用許諾を行う場合、代理店は、その前提としてベンダーに利用許諾料を支払う必要があると考えられ、その具体的な定め方としては、ソフトウェア、クラウドシステム等の仕切価格を基準にすることが考えられます。
【お問い合わせ窓口の設置主体の違い】
「利用許諾型」及び「再利用許諾型」のITサービス代理店契約では、それぞれお問い合わせ窓口の設置主体に違いが見られ、具体的には、以下のとおりとなります。
「利用許諾型」
ベンダーがエンドユーザーへ直接にソフトウェア、クラウドシステム等の利用許諾を行うため、ベンダーにお問い合わせ窓口を設置することが多いといえます。
「再利用許諾型」
代理店がエンドユーザーへソフトウェア、クラウドシステム等の再利用許諾を行うため、代理店にお問い合わせ窓口を設置することが多いといえます。
【二次代理店の選任の適否】
「利用許諾型」及び「再利用許諾型」のITサービス代理店契約では、販路開拓等を目的として代理店がの二次代理店を選任することが望ましいか否かについて、それぞれ違いが見られ、具体的には、以下のとおりとなります。
「利用許諾型」
個別にベンダーの承諾を得た場合等には、代理店が二次代理店を選任できるとすることがあります。
「再利用許諾型」
代理店が二次代理店を選任する場合、代理店から二次代理店へソフトウェア、クラウドシステム等の再利用許諾をし、さらに二次代理店からエンドユーザーへこれらの再々利用許諾を行う必要があり、ベンダーが利用許諾の条件を把握しにくくなるため、二次代理店を選任できないとする方が望ましいと考えられます。