【意義】
YouTubeチャンネル売買契約書は、旧運営者(売主)が新運営者(買主)に対してYouTubeチャンネルを譲渡する場合に用いられる契約書をいいます。
広告収益の獲得を目的としている新運営者としては、新たにYouTubeチャンネルを立ち上げて一から育てるよりもすでに登録者数がいるYouTubeチャンネルを譲り受けた方が広告収益を得られやすいという判断等からYouTubeチャンネル売買契約が行われます。
【目的物】
YouTubeチャンネル売買契約の目的物としては、例えば、次のものがあります。
(1)YouTubeアカウント
(2)過去の動画の著作権等の知的財産権
(3)撮影用機材一式
(4)動画作成の手順等のノウハウをまとめたマニュアル
(5)過去の台本の素材及びシナリオ
(6)YouTubeチャンネルの運営に付随して開設したSNSのアカウント
(7)上記(6)のSNSに掲載されている画像、文章等の知的財産権
【売買代金】
通常の売買契約と同様にYouTubeチャンネル売買契約においても売買代金の額、支払時期、支払方法等の事項が規定されます。
【YouTubeチャンネルの管理】
旧運営者(売主)がYouTubeチャンネルの管理を雑に扱ったりするとYouTubeチャンネルの価値が減少するおそれがあるため、譲渡日までの間、旧運営者(売主)がYouTubeチャンネルを善管注意義務をもって管理することが義務付けられことが多いといえます。
この点については、YouTubeチャンネルの価値の減少を防止する観点から、YouTubeチャンネルのアカウントを削除する行為、YouTubeチャンネルの再生数を減少させる行為、YouTubeチャンネルにアップロードされている過去の動画を削除する行為等を明文の規定をもって禁止した方がいいと考えられます。
なお、譲渡日においてYouTubeチャンネルの価値が減少していた場合、新運営者(買主)が旧運営者(売主)に対して解除権を行使できる形にする場合があります。
【広告収益の帰属】
YouTubeチャンネル売買契約では、発生した広告収益をどのように帰属させるのかについて取り決めることがあります。
例えば、YouTubeチャンネルの広告収益のうち、譲渡日前に生じるものについては、旧運営者(売主)に、譲渡日以後に生じるものについては、新運営者(買主)に、それぞれ帰属させることが考えられます。
【出演者等】
YouTubeチャンネル運営に必要不可欠な出演者が存在している場合、視聴者離れを防止し、再生回数を維持するため、YouTubeチャンネルの譲渡後においても、引き続きその出演者に動画出演してもらう必要があります。
そこで、YouTubeチャンネル売買契約において、旧運営者(売主)は、出演者が引き続きYouTubeチャンネルに出演する旨の同意を新運営者(買主)がその出演者から得られるよう必要な協力を行うことが規定される場合があります。
なお、実務では、出演者以外にも、旧運営者(売主)が自らの提携先である動画編集者、ライター等を新運営者(買主)へ紹介する形で引継ぎが行われることがあります。
【競業避止義務】
YouTubeチャンネル売買契約では、旧運営者(売主)の競業により新運営者(買主)が害されないようにするため、旧運営者(売主)に競業避止義務を課すことがあります。
例えば、契約締結日から一定期間、旧運営者(売主)は、自ら又は第三者を通じて譲渡対象のYouTubeチャンネルと競合し、又はそのおそれのあるジャンルのYouTubeチャンネルを制作し、又はYouTube上に公開してはならないとすることがあります。