ECサイト利用規約の意義


【意義】

ECサイト利用規約は、サービス提供者が利用者に対して自ら開設したECサイト上で商品を販売する場合に用いられる利用規です。

 

ECサイト利用規約では、商品の購入方法、代金支払い、送料の取扱い、返品又は交換の取扱い、商品レビュー、利用制限等の事項が規定されます。

 

ECサイトにおける取引では、サービス提供者と利用者との間で売買契約が行われていると考えられます。

 

なお、ECサイトにおける商品の販売は、通信販売に該当するため、広告時に「特定商取引法の規定に基づく表示」が必要となります。

 

 


【商品の購入方法】

サイト上の商品掲載は、サービス提供者による「申込みの誘因」であることから、利用者が商品を購入するためには、サービス提供者に商品の購入申込みをする必要があり、具体的には、利用者がサイト所定のフォームに購入したい商品及び数量、氏名、住所、メールアドレス等の必要事項を入力送信することになります。

 

サービス提供者は、上記の購入申込みを承諾するときは、承諾する旨の通知を、これを拒絶するときは、拒絶する旨の通知を利用者へそれぞれ通知することになります。

 

 


【売買契約の成立する時点】

商品購入に関する契約(=売買契約)が成立する時点については、次のいずれかの形が考えられます。

 

(1)利用者からの商品購入の申込みに対してサービス提供者が承諾する旨の通知を発信した時

(2)サービス提供者が利用者から商品購入の申込みがあった商品を発送した時

 

 


【送料の取扱い】

送料の取扱いをECサイト利用規約で明記しておく必要があります。これは、ECサイト利用規約で送料の取扱いを明記していないと商品価格に送料が含まれているのか、それとも商品価格とは別に送料が必要なのかが不明確となるためです。

 

 


【商品の発送】

特定商取引法上、前払いにより決済を行った上で商品を発送する場合に、サービス提供者がその発送を遅滞なく行わないときは、サービス提供者は、申込みの承諾の有無その他の一定の事項を書面により利用者に通知しなければならないとされます。

 

そのため、事務処理の都合上、書面の通知を省略したいと考えるときは、サービス提供者は、商品代金の決済後遅滞なく商品の発送を行う必要があります。

 

 


【国外への発送】

ECサイトにおいては、国外からの利用も考えられるため、売買契約が成立した商品の発送について、国内への発送に限るのか、それとも、国外への発送も認めるのかをECサイト利用規約に明記することが重要といえます。

 

この点を考慮するに際し、次の点を考慮することが重要といえます。

 

(1)国外の利用者との間で紛争が生じた場合に対応できるか?

(2)ECサイト上の取扱商品が国外輸出の規制対象となる商品ではないか?

 

 


【返品又は交換の取扱い】

返品又は交換時の送料をどちらが負担するのか、いつまで返品又は交換に応じるのか、返金方法等の詳細をECサイト利用規約で定めるのが通例です。

 

 


【商品レビュー】

ECサイト上では利用者が商品レビューをすることができる場合があるところ、ECサイトの運営及び管理の適正化を目的として、サービス提供者が必要に応じて入力済の商品レビューを取り消し、又は削除できる旨の条項がECサイト利用規約において定められることがあります。

 

 


【ポイントの付与】

ECサイトで利用者が商品を購入した場合、次回の購入に際して割引を行う趣旨でサービス提供者から利用者に対して一定のポイントが付与されることがありますが、そのポイント付与の上限については、景品表示法上、次のよう制限があります。

 

購入額が1,000円未満の場合⇒200円まで

購入額が1,000円以上の場合⇒購入額の20パーセント相当額まで

 

 


【ポイントの失効】

ECサイト利用規約の変更に伴いポイントを失効させることができるとする場合があります。

 

ただし、いきなりECサイト利用規約を変更してポイントを失効させると民法の定型約款の規定又は消費者契約法に照らして無効になるおそれがあるため、十分に周知期間を設けた上でECサイト利用規約の変更及びポイントの失効を行う必要があります。

 

 


【不保証】

ECサイト利用規約には、次に掲げる条件を満たすことを保証しない旨の条項が規定される場合があります。

 

(1)ECサイトに掲載された画像と実物の商品とが大きさ、色合い等の外観において同一であること。

(2)利用者が商品を受領した後に、気温、湿度等の保管環境による影響を受けないこと。

 

 


【広告用電子メールの送信】

ECサイトの利用者に別商品の案内等の広告を電子メールで送信するときは、特定電子メール法により、ECサイト利用規約ではなく、注文画面においてその送信についての同意をECサイトの利用者から得ることが必要になります。