【懈怠約款】
債務承認弁済契約等において、債務者が分割金の支払を怠った場合に債権者が債務者に対して一括弁済を請求できるようにするため、「乙が前条の分割金の支払を2回分以上怠ったとき。」を期限の利益喪失事由として定めることがあります。
【問題点】
上記の「乙が前条の分割金の支払を2回分以上怠ったとき。」という条項例は、次のように多義的に読むことができ、明確性に欠けると思われます。
(1)分割金の支払を2回連続して怠ったときを意味する場合
(2)分割金の支払を通算して2回怠ったときを意味する場合
(3)分割金の一部の支払を行ったものの滞納額が2回分に達したときを意味する場合
実務においても、上記のような不明瞭な懈怠約款が規定されていることがそこそこ存在します。
【改善策】
「乙が前条の分割金の支払を2回分以上怠ったとき。」という条項例を明確にするには、次のような条項例を採用して解決することになると考えられます。
「乙が前条の分割金の支払を怠り、その額が金〇〇万円以上に達したとき。」
この条項例であれば、分割金の支払について、2回連続して怠ったのか、それとも通算して2回支払を怠った
のかを問わず、滞納額が一定額に達すれば、期限の利益を喪失したと判断することになり、明確だと考えられます。